INFORMATION 96年11月号


目 次


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雑 感
身近に思える年末調整講座
シリーズ 消費税改正 その5
シリーズ「社長になろうと思ったとき!」
情 報


雑 感


上 野 茂 樹

<かけ引き>

 懸引きとは、相手の出方を見て態度を変え、有利になるように処理することを言う。残念ながら私にはかけ引きが出来ない。嫌いといった方が正しい。性格的なものもあるかもしれないが、時間の無駄だと考えるからだ。日々発生する多くの事案を、即断即決するように心がけている。しかし、たまる一方だ。だから時間が惜しい。相手の出方を見てなどという余裕はない。
 私は、人とのつき合いにおいてもそうだ。ストレートに話しをしてくれる人、大歓迎。ところが、遠回しな話、あるいはかけ引きをする人は、つい遠ざけてしまう。何が言いたいのか。この人の根っこは何なのか。主義、主張がはっきりしないと疲れてしまう。
 私の仕事のスタンスは、かけ引き嫌いから成り立っている。例えば税務。税務調査の立ち会いは、三者三様。時間の無駄と考える。だから、回数と時間を減らすことを考える。巡回監査を徹底する。申告書・決算書及び内訳書も事細かく作成する。書面添付を標準業務とする事を考える。そして、責任の範囲を明確化する。こうしておけば、有能な調査官なら、事前に問題点を抽出。短時間で調査は終了できるはず。その上、意味のないかけ引きからも当然解放されるはずだ。実に簡単な話である。
 こう書いてくると、どうもあいつの頭は単純に出来ているようだ、とお思いになるに違いない。その通りである。易しいものを難しくするのは苦手である。難しいものでも易しくしないと気がすまない。で、何が言いたいかって。私は、かけ引きが嫌いだ。ただ単に疲れるだけだから。だからその手の事案は、私に期待しても無駄ということになる。

<大企業に学ぶ>

 まだまだ、バブルの後始末は続いているようだ。そんな中で、我が小企業経営者の方々から大手企業、とりわけ、金融・サービス業に対する不満が寄せられる。大方は察しがつくと思うが、「都合が悪くなると逃げてしまう。」と言う話だ。
 名前の通った大企業なら大丈夫とお付合いをした。ところがトラブル発生。担当者は、挨拶もなく転勤。後任に何を言っても、埒があかない。挙げ句の果てに、当社の社員がそんなことを知るはずがない。あなたちょっと頭がおかしいんじゃないですか、で片づけられてしまう。よくある話。
 まさか、旅費をかけて転勤地に追って行くわけにも行かない。行ったところで会えるかどうかも分からない。運良く会えたとしても、そんなこと、言ったこともやったこともありません、でチョン。実にうまいシステムである。その点、小企業の経営者は都合が悪くなったからといって、家を背負って逃げるわけにはいかない。だからつい、愚痴がでてしまう。
 大企業というのは、資本と経営が分離している故、実はこうせざる得ない運命にある。大企業の罹りやすいこの病、裏を返せば、小企業にとって最も攻めやすい部分である。サービス業など小企業が大いに活躍を期待できる分野である。それ故、フランチャイズやボランタリーチェーンという大企業と小企業の長所をミックスした組織が元気なのかもしれない。社会主義化した日本経済に活力を与えるのは、資本主義の原点とも言うべき、即断即決のオーナー経営者のいる小企業である。だからこそ、私は「これからは小企業の時代だ」と檄を飛ばすのである。

<経済講演会>

 来春の1月18日(土)の午後2時〜4時まで、経済講演会を開く予定である。講師は、澤上篤人氏である。皆様に贈呈させて戴いた「この3年が日本株の勝負どき」の著者である。この本の反響はすごく、講演会を開いてほしいという要望が殺到した。著者の実力を見抜くあたり、やっぱり経営者の方々だなと、大いに感心した。と同時に、なんとか実現させねばと言うことで澤上氏に御無理をお願いした。1月は会場の確保が難しい。紫玉苑でやっと80名の会場を予約できた。近々ご案内を送付する予定であるが、定員の関係上お早めにお申し込み願いたい。

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身近に思える年末調整講座


 さあ!今年も年末調整の季節がやって来ました。今年度は大きな改正もなく、平成7年度の年末調整事務と同じように進めることができます。今月と来月は年末調整とはどのようなものか、またその方法について御紹介いたします。


Q1.年末調整って何?

 A.簡単に言ってしまうとサラリーマンの確定申告です。
     給与の支払者は、税額表を使って毎月の給与やボーナスから源泉税を計算していると思います。
      しかし、その計算した金額は必ずしも正しいものではありません。その理由は・・・。    
     (1)税額表の作り方による不一致。
      税額表は、年間を通じて毎月の給与の変動や扶養の人数に異動がないことを前提として作られ
         ています。つまり、配偶者控除などの所得控除額をそれぞれ月割額にして控除したうえで作ら
         れているため、給与の変動や扶養の人数に異動があったときに対応しきれないものになってい
         ます。   
     (2)年末に一括で控除するものがあるため。
     所得控除には毎月の源泉徴収の際に控除しないで年末調整の時に一括して控除するものがあり
         ます。
              例:配偶者特別控除、生命保険料控除など。
     また、税額から直接控除するものも年末調整の時に一括控除します。
                例:住宅取得等特別控除など。

      従って、その年の正確な所得税額を算出し、差額を年末に調整する為に年末調整といいます。す
      でに、多く納めてしまっている人は還付を受け、少なく納めていた人は足りない分を納めなけれ
      ばなりません。

Q2.どんな人が年末調整を受けるの?

 A.主なものは下記の表で左側に該当する人です。
        ┌─────────────────┬───────────────┐
       │     年末調整の対象となる人       │  年末調整の対象とならない人  │
       ├─────────────────┼───────────────┤
        │□1年を通じて勤務している人      │□本年中の主たる給与の収入金額│
       │□年の中途で就職し、年末まで勤務  │ が2,000万円を超える人       │
       │  している人             │□2カ所以上から給与の支払いを│
       │□死亡により退職した人            │  受けている人で、他の給与の支│
       │□著しい心身の障害のため退職した人│  払者に「給与所得者の扶養控除│
       │  でその退職の時期から見て、本年中│ 等申告書」を提出している人  │
       │ に再就職ができないと見込まれる人│         (乙欄適用者)│
       │□12月中に支給期の到来する給与の│□災害により被害を受けて、「災│
       │  支払いを受けた後に退職した人    │ 害被害者に対する租税の減免、│
       │                                  │ 徴収猶予等に関する法律」の規│
       │                                  │ 定により本年分の給与に対する│
       │                                  │ 源泉所得税の徴収猶予または還│
        │                                  │  付を受けた人                │
       │                                  │□年末調整を行うときまでに「給│
       │                                  │ 与所得者の扶養控除等(異動)│
       │                                  │ 申告書」を提出していない人  │
        └─────────────────┴───────────────┘

Q3.年末調整はいつ行うの?

 A.原則として、給与の支払者が本年最後の給与を支払う時に行います。
      つまり通常12月中に行うこととなるわけですが、12月中に給与と賞与を別々に支払う場合は、
      いずれか遅い方の支給時に行うことになります。

Q4.事業者が年末調整を行う際、どの期間の給与が対象になるの?

 A.本年中に支払うことが確定した給与が対象となります。
   「本年中に支払うことが確定した給与」とは、平成8年1月1日から12月31日までに、支払
      うべき給与です。つまり、実際に支払ったかどうかは関係なく、未払となっている給与も年末調
      整の対象となります。

Q5.昨年と変わったところは?

  A.大きな改正点はありません。昨年同様、特別減税も行われます。
   年末調整対象者は、年税額の15%相当額(5万円を限度)を年税額より控除します。

Q6.年末調整を行う際に必要な資料及び書類は?

 A.用意する書類及び資料は、大きく分けて5種類になります。
    (1)年末調整を行うまでに全て記入してある状態で用意するもの。
     源泉徴収簿・給与所得者の扶養控除等申告書・配偶者特別控除申告書・保険料控除申告書
    (2)年末調整の計算を行うときに必要な資料。
     年税額早見表・給与所得控除後の金額の早見表・各種控除額の早見表
          (障害者控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除など)
    (3)年末調整において該当する人のみ必要な書類。
     住宅取得等特別控除申告書
     (4)年末調整の計算が済んでから、その結果を記入する書類。
     納付書・給与所得の源泉徴収票
    (5)年末調整の計算が済んでから、翌年1月31日までに提出する書類。
     報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書・不動産使用料等の支払調書・給与所得の源泉徴
          収票等の法定調書合計表
    
   ※なお、保険会社などに払い込んだ保険料額を証明する「保険料控除証明書」などが個人宛に郵便
      で送られてきていますので、年末調整を行う時まで大切に保管しておくようにして下さい。

 今月は年末調整とはどの様なものかを簡単に説明いたしました。次回はその年末調整の流れと具体的な進め方についてをご説明致します。

(担 当:田中・大森)

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シリーズ 消費税改正 その5


請求書等と帳簿


<帳簿書類を整理保存しなくてはならない>

経理担当者「先月の説明で、請求書等と帳簿の両方を保存しなくてはならないことは分かりましたが、
            帳簿って具体的にどんなものを言うのかよく分からないんですけど...」
社長   「帳簿って言うのはなあ、...なんだろう?」
監査担当者「帳簿とは、日々の取引を記録した書類をいいます。つまり、『経理担当者』さんが毎日つ
            けている現金出納帳や仕訳帳、総勘定元帳などのことです。」
経理担当者「総勘定元帳って、何ですか?」
監査担当者「総勘定元帳とは、その会社の全ての勘定を記録する元帳のことを言います。この帳簿は、
            文具店に市販されているものや市販されている財務ソフト毎にその様式は様々ですが、私
            どもTKC会計事務所では、次のようになっています。」

○TKCの伝票は、3枚複写になっていて会計伝票と補助元帳伝票に分かれます。
 補助元帳伝票は勘定科目ごとに綴ることによって勘定元帳という帳簿になります。ただし、改正消費
  税法では、この伝票綴りによる勘定元帳を帳簿とする条件として、「1.勘定科目別に分ける。」
 「2.日付順に並べる。」「3.日計表と月計表を付ける。」の3つの条件を満たす必要がある
  とされています。(平成8年10月現在)

○TKCの自計化システム(FX2、DAIC2など)は、日々入力した伝票から瞬時に勘定科目ごと
  に集計して、勘定元帳を作成することが出来ます。この元帳は自動的に日付順に並び替え、印刷する
  ときには月計表を作成するので、改正消費税法に対応しています。

社長   「では、うちは条件を満たしていることになるな。ところで、整理保存すると言っているが、
            どれくらい保存しなくてはならないんだ?」
監査担当者「保存期間は、税法では7年間になっています。」
社長   「そうか、7年も保存するのか。じゃあ、請求書等についてはどうなっているんだ?」


<改正消費税法では、請求書等も整理保存しなければならない。>

監査担当者「ところで請求書等には、どんなものがあると思いますか。」
経理担当者「え〜、まず請求書ですね。それから、領収書も含まれるんじゃないんですか。」
監査担当者「その他にも、納品書、仕入れ明細書、仕切り書、出来高検収書、その他支払先から送られ
            てくる計算書類なんかも、請求書等に含まれるんですよ。そこで、『経理担当者』さんに
            は、次の点に注意していただきたいと思います。」


相手先から請求書等をもらったときに気を付けること
(請求書等の条件については、先月号のインフォメーションを参考にして下さい。)

○請求書
  一般に請求書と呼ばれている書類では、改正消費税法でいう請求書等の条件に該当していると思わ
  れますが、記入事項を省略していることがないように確認して下さい。

○領収書
  受領者の氏名又は名称や、取引内容の記入が省略されているケースが考えられますので確認して下
 さい。

○納品書、仕入れ明細書、仕切り書、出来高検収書、その他支払先から送られてくる計算書類
  これらの書類を請求書等として利用する場合、領収書と同じように取引の内容が一部省略されてい
 るケースが多いので確認して下さい。

経理担当者「でも、実際にすべての相手先から請求書等をもらうことは、無理だと思うんですが。」
監査担当者「その場合には、請求書等がなくても仕入税額控除を認める特例がありますので大丈夫です。」

仕入税額控除の特例

 1回の税込み取引金額が3万円未満の場合、あるいは3万円以上でもやむを得ない理由がある場合は、
請求書等が無くても仕入税額控除が受けられます。この場合、支払証明書などで取得できなかった理由
を詳細に記入して下さい。

やむを得ない理由については次のようなものが考えられます。
 ◎自動販売機で購入した場合
 ◎入場券、乗車券、航空券等これらの証明書類が発行者により回収される場合
 ◎請求書等の交付を請求したが、交付を受けられなかった場合
 ◎課税期間末日までに支払い対価の額が確定していない場合
  (この場合、金額が確定したときに請求書等の交付を受けます。)

監査担当者「注意していただきたいのは、経理上(法人税法・所得税法上)は領収書や請求書は整理保
            存しておくことが基本です。従って、平成9年4月1日以降であれば3万円未満の請求書
            や領収書が必要ないということではありません。あくまで、消費税法上の特例ですので、
            気を付けて下さい。」
経理担当者「分かりました。」

(担当:野呂瀬)

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シリーズ「社長になろうと思ったとき!」


第8回 定款と印鑑



 前回は、会社の名前の決め方について勉強した友達ですが、その後はどうなったのでしょう。

友達
 「名前が決まったよ。株式会社マックス。なかなかでしょ。類似商号もないようだよ。」
先輩
 「まあまあだな。でも名前も決まったことだし、いよいよ設立最終段階だな。」
友達
 「そうだね。でもこの間、法務局で設立登記をする時は定款を持ってくるようにと言われたんだけど。
    どういった内容のものを作れば良いのか分からないんだよ。」
先輩
 「あれ、まだ定款は作ってなかったんだ。それじゃあ今日は定款について教えてあげるよ。いいかい、
    定款は簡単に言うと会社の憲法なんだ。だから定款にもいろいろな決まりがあるんだよ。」

        ┌─定款の作成に当たっての注意点─────────────────--┐
        │1.定款作成準備作業                                                │
        │ 設立する会社の所在地内に同一の営業目的を持った類似商号の会社はない│
        │いか、調査を行います。調査終了後に出資金払込銀行を決めます。        │
        │2.定款の作成                                                      │
        │  記載する内容は、絶対的記載事項と相対的記載事項、そして任意的記載事│
        │項の3つがあります。                                                │
        │絶対的記載事項・・・定款に必ず記載しなければならない事項。例えば、会│
        │          社が発行する株式の総数、額面株式を発行するときは│
        │          1株の金額(5万円以上)、設立に際し発行する株式│
        │          の総数ならびに額面・無額面の別および数、会社が広│
        │          告する方法、発起人の氏名および住所等。          │
        │相対的記載事項・・・記載しなくても定款の効力自体には影響がないが、記│
        │          載がなければ効力の生じない事項。例えば、役員の定│
        │          数や種類等。                                    │
        │任意的記載事項・・・記載するとそれらの事項に拘束されてしまう事項。例│
        │          えば株主総会の開催時期、決算期等。              │
        │3.定款の認証                                                    │
        │ 民法に言う「公序良俗」に反するような目的を持った法人を誕生させない│
        │ためにも、会社の所在地を管轄する登記所に所属する公証人の認証を受け、│
        │定款の効力を発生させます。定款は3通作成し、1通は公証人役場に保存さ│
        │れ残り2通は会社保存用と登記所提出用です。                          │
        └──────────────────────────────────┘
友達
 「なるほど。早速、作ってみるよ。」
先輩
 「まだダメだよ。だいたい会社の住所は決まっているのかい。」
友達
 「一応、自宅を事務所にすることになっているんだ。」
先輩
 「そうか〜。じゃあその住所も定款に記載しないといけないね。それと住所は山梨県○○市町村まで
    の記載でいいことになっているんだ。もし、細かく××番地まで記載してしまうと、同じ市町村内
    で住所を移転することになった場合、本店所在地の変更登記以外に定款変更の手続きもしなくては
    いけなくなるから面倒なんだ。それと会社のハンコは作ったかい?」
友達
 「自分のハンコはあるよ。印鑑登録もしてあるよ。」
先輩
 「違うよ。会社の名前のハンコだよ。会社の住所が決まったらまず、会社のハンコを作らないとダメ
    なんだよ。会社のハンコも登記所に会社代表者印として印鑑届をするんだ。よし、会社印について
    教えてあげるからすぐ作れよ。」

        ┌─会社印の種類-──────────────────────────┐
        │・会社実印                                                          │
        │ 会社登記をする登記所に、会社代表者印として印鑑届をしたもの。大きさ│ 
        │ は、直径1センチ超3センチ以内。変形しやすいゴム製のような素材は避│
        │ けた方がよいです。なお、会社実印は必ず作らなければなりません。    │
        │・認印および銀行印                                                  │
        │ 認印とは実印の代わりに日々の仕事に用いるもの。預金をしたり、手形や│
        │ 小切手を振り出す為に銀行へ届出をして使用するものが銀行印です。    │
        │・社判                                                              │
        │  会社名を彫った角印。会社ではこの社判を使います。そして、契約書など│
        │ の書類に社判や代表者印、担当者印を2種類押すことにより会社の捺印と│
        │ 確認できるため、偽造防止に効果的です。                            │
        │・ゴム印(タテ判、ヨコ判)                                          │
        │  書類を作成する場合、署名・捺印が原則です。しかし、今日では早い・簡│
        │ 単・きれいということでゴム印が多く使われているようです。          │
        └──────────────────────────────────┘
友達
 「へーえ。ハンコもたくさんあるんだね。早速作りに行って来るよ。」
先輩
 「そうだね。ハンコが出来たら会社の設立登記をしてこいよ。そしたらいよいよ開業だぞ。」

 今回は定款と印鑑について説明してきました。どちらも会社にとっては大切なものです。会社設立後
は、対外的な信用を築いていく事が何よりも大切な時期です。印鑑を作り直したり、本店の住所を変更
したりでは取引先を混乱させるだけです。その結果、信用問題にもなりかねません。始めからきちんと
決めておきましょう。

(担当:山本・田中)
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情 報


〜新しい経営分析表・資金繰り〜

 すでに財務三表を使用されている皆様はお気付きと思われますが、10月後半発送分から月次データに新しい月例経営分析表を添付してお届けしております。この分析表は、要約貸借対照表、変動損益計算書、資金移動図表の3部から成り、企業の安全性や収益性を分析すると共に、改善すべきポイントを掲載して業績向上に役立ていただけるように工夫してあります。今回は資金移動図表についてご説明いたします。

1.なぜ黒字倒産するのか?

  近頃、県内では名の通った企業の倒産が相次いで発生しています。高額所得 ランキングにも掲載されている優良企業がなぜ倒産するのか疑問に思われるのではないでしょうか。黒字倒産の原因は、損益計算書上の総収入が必ずしも資金の増加とは一致せず、総費用が必ずしも資金の減少とは一致しないため、たとえ儲かっていても資金不足に陥ってしまうことがあるからです。

2.資金の流れを要チェック

  「勘定合って銭足らず」とは理論と現実が一致しない例えです。「儲かっているはずなのにいつもお金が足りないなー。」とぼやく経営者がいますが、まさにこの例えの通り理論と現実が一致していません。この経営者は、損益計算と資金の増減を同一に考えているため、資金不足の原因が掴めないのです。経営者は、儲けとお金は別物である点を認識し、いくら黒字であっても常に資金の流れを監視しなければならないのです。

3.資金繰りに強くなるための第一歩

  資金繰り分析を行う上で大切なのは、損益計算書上の総収入が資金の増加と一致せず、総費用が資金の減少と一致しない原因を認識することです。「資金移動図表」はこの原因を分析しながら「あのカネはどこへ行ったのか?」という資金の流れを分かり易く図にしたものです。

(1)損益計算書
  資金移動図表の左半分は損益計算書です。収入を白丸で、支出を黒丸で表しています。白丸の合計から黒丸の合計を差し引いた残りの白丸が経常利益です。全ての売上が現金売上で、全ての経費が現金払いなら資金残は明確ですが、損益と資金収支には差異が発生します。

(2)資金移動図表
  資金移動図表の右半分が実際の資金の動きを表したものです。これには損益と資金の増減が一致しない理由がその金額と供に記載されています。総収益がそのまま資金の増加につながらない理由には・・・

      ○受取手形の増減
      ○売掛金の増減
      ○割引手形の増減
      ○前受金等の増減
 などがあります。例えば、1,000万円の商品を納品して売上を計上したとしても、その代金は翌月に振り込み入金か手形で受け取ることが多いと思います。つまり売り上げた時点でお金は1円も増えていないのです。逆に総費用が資金の減少に一致しない理由には・・・
      ○支払手形の増減
      ○買掛金の増減
      ○減価償却費
  などがあります。仕入を行っても手形で支払う場合はその時点ではお金が減りません。掛け仕入も同様です。また、減価償却費は資金の流出がない経費ですので調整を行います。以上のような調整をして実際の資金の増減額を計算したものを経常収支と言います。しかし、企業の資金は経常収支以外にも借入金の返済や、固定資産の購入などのために動きます。よってこれらも調整します。
  資金移動図表の一番右側に、実際にどの科目がいくら増減しているのかを一覧表にして掲載してあります。これによって資金の増減が何に充てられたのかがはっきりします。

  売上さえ確保していれば会社の運営は成り立っていくという考え方は、非常に危険です。売上代金の回収予定や、仕入れ代金の支払いや手形の決済予定等を常に監視し、資金不足に陥ることが無いように注意しましょう。

(担当:乙黒謙一)

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