INFORMATION 98年6月号

目 次


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雑 感
情 報
FX2導入企業紹介
シリーズ 書面添付申告の重要性 その2
シリーズ ビッグバン

雑 感

上 野 茂 樹

<本当の原因は>

 離陸しかけていた景気を失速させたのは、平成9年4月の消費税率の引き上げと、社会保険料の引き上げだ、との見方が一般的である。私もそうなんだろうな、と妙に納得していた時期がある。
 ところが、一連の金融スキャンダルを見て、なんか変だなあと思うようになった。平成10年4月1日の外為法改正で金融ビッグバンが始まることは、百も承知。準備期間も十分あった。3月末に照準を合わせ低金利政策が実施され、その間、金融機関は史上空前の利益を上げていた。全てが不良債権償却一点に絞られ、金融機関を立ち直らせるための政策が行われていた。
 金融不安を避けるためにはやむを得ない、と誰しも納得せざるを得なかった。しかし、平成10年3月期決算の新聞発表を見て驚いた。新基準による不良債権額は一段と増え、その償却引当のため、大手銀行は軒並み赤字決算。公的資金という名の税金まで使って今まで何をしていたんだろう。金融機関は本当に大丈夫なんだろうか、と私も不安になった。この様な疑心暗鬼は、人間行動として現れる。
 近代経済学では、前提条件を設けて、OO理論、OO原理の理論構築を行う。しかし、最後は「社会的心理法則による」と言うことで決着する。即ち、どんな高邁な理論も消費者心理の前にはあえなく崩れ去ってしまうということ。1,200兆円という金融資産が動かないのも預金者が息を凝らしているからだろう。出戻りデフレは、金融不安が消費者心理を凍らせてしまったからではないだろうか。

<Dog Year>

今の1年1年をドッグイヤ−と言うそうだ。犬は1年で4歳年を取る。現代の1年は、過去の4年分と一緒。実際、政府も2001年までには全てに渡り決着をつけると表明している。所詮、政治家の話と侮ってはいけない。既に実体経済は、目まぐるしい速さで動き始めている。
 開国(ビッグバン)からの3年間は、12年分が凝縮されて襲ってくる可能性がある。今はまだ始まったばかりで加速中。トップギヤに入ったら大変。我々の分野だけでも数え切れない程ある。規制緩和、国際会計基準導入に伴う企業会計原則、商法、税法及び関連法規の改正、商慣行の変化に伴う電子帳簿、電子マネ−、インタ−ネットビジネス等々。
 覚悟して掛からねばなるまい。変化に対応できず「そう言えば昔OOという会社があったね」なんて言われないようにしたい、お互いに。3年経つと10年一昔になってしまうんだから。

<税金の話>
 「実効税率46%と言っても、やっぱり日本の法人税は高すぎるよなあ」なんて考えながら各国の税制を調べていた。そして、フランスの税に関する著述に出会った。利益の分配の仕方が私の考えと一緒。そういう理論があったんだ、と自信を持ったり感動したり。
 会社に関わる者を株主、経営者、並びに国及び地方の3つに大別する。まず、株主。会社が倒産すれば、出資額が零になるリスクを負う。次に経営者。経営に関する全責任を負いながら会社を経営する。株主訴訟のリスクもある。基本的にはこの両者、即ち株主及び経営者が協力して営利活動を展開、企業利益を創造する。
 最後に国及び地方。法人税という法人の利益分配請求権を持っている。しかし、企業利益の創出活動には関わってはいない。故に、この請求権は、株主及び経営者の有する権利を上回ってはならない。よって、法人税率は、利益の3分の1を限度とすべきだ。もしも、これを超える権利を主張するならば、国及び地方はその正当性を証明しなければならない。極めて明快な理論。フランス革命の際の、人及び市民の権利宣言(1789年)の思想が、今なお継承されている。血を流して勝ち得た権利の重みを感じる。
 ところで、企業が健康体を維持するには、3分の1税が妥当だと考える。脱税なんて考えなくなるだろうし、内部留保もできる。金融機関への依存体質も改善される。企業が元気になれば、結果的に国家を潤す。良いことばかり。国家経費は、直接税で賄い、社会福祉は、消費税で賄えばいい。政府は、税金で養える規模で十分だと思う。

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情 報


 今年3月に「平成10年度税制改正」が施行されたことに続き、5月29日、政府の総合経済対策に基づく措置として投資減税関連法が成立し施行されることとなりました。今回の投資減税関連法は、 所得税の特別減税の追加実施、 投資促進を目的とした中小企業投資減税、 住宅減税の3本立てとなっています。今月号は、この3点と共に「平成10年度税制改正」の中でも取り扱いが話題となっている建物の減価償却について説明いたします。

1.所得税および住民税の追加特別減税  平成10年2月から実施された特別減税に加えて、下記<表1> により算出した追加特別減税が平成10年8月から実施されます。
 所得税の減税方法は、(1)給与所得者の場合、既に実施済みの特別減税と同様、算出した減税額を8月1日以降支払われる給与・賞与の源泉所得税額を限度に順次減税することになります。したがって、各事業所では従業員の給与等の計算時に追加特別減税の事務処理が再度必要となります。
 なお、追加特別減税の事務処理をする際に、2月実施の特別減税額の控除不足分がある場合は、追加特別減税と併せて順次減税することになります。(2)事業所得者の場合、第1回目の予定納税期限が7月31日から1ヶ月間遅れることになっており、8月31日となります。この時の納税額から、追加特別減税を含めた特別減税合計額が減税されることになっています。この時点で控除しきれなかった特別減税額は、11月の第2回目の予定納税で差し引かれることになります。また、予定納税がない方は、3月の確定申告時に追加特別減税を含めた特別減税合計額が、特別減税を控除する前の所得税額を限度に減税されることになります。
 住民税については、特別徴収をしている給与所得者の場合、6月分の徴収は無く、7月分以降の住民税から特別減税合計額を11ヶ月間に均等割し、毎月減税されることになります。したがって、6月の中旬頃に、各市町村から特別減税後の住民税額が通知されることになっています。

<表1>


 

 
実施済特別減税
A
追加特別減税
B
特別減税合計額
A+B=C


 本 人   18,000円  20,000円   38,000円
扶養親族
一人につき

   9,000円

  10,000円

   19,000円


 本 人    8,000円   9,000円   17,000円
扶養親族
一人につき

   4,000円

  4,500円

   8,500円

 

 

  2.中小企業投資促進税制の創設
 この制度は、中小企業に対する設備投資の後押しとして、所得税および住民税の追加減税と一緒に創設されており、中小企業にとっては是非とも活用したい税制となっています。

<制度の内容>

 対象者 :
 指定事業を営む中小事業者が、下記要件を満たす機械等(中古資産は適用除外)を購入またはリース契約で賃借し、その者の事業用として使用した場合(指定事業は、ほとんどの事業者が対象となりますが、念のため利用する際には、当社へご確認ください)

 対象設備:
 〇すべての機械・装置
 〇中小企業の事務処理の効率化等に関係する以下9種の器具、備品
  1 電子計算機(パソコン等)
  2 メモリー送受信機能付普通紙ファクシミリ
  3 デジタル構内交換設備
  4 デジタルボタン電話設備
  5 電子ファイル設備
  6 マイクロファイルシステム
  7 デジタル複写機(コピー機)
  8 冷房・暖房用機器
  9 ICカード利用設備
 〇車両総重量が8トン以上の普通貨物自動車
 ○内航船舶(リースは適用除外)

 取得価額:
 〇機械・装置は、1設備230万円以上(リースの場合は、リース総額300万円以上)
 〇器具、備品は、1設備または同一種類の複数設備の合計金額が100万円以上(リースの場合は、リース総額140万 円以上)

 優遇措置:
 上記要件を満たした設備の取得価額の30%を特別償却、または取得価額の7%を税額控除(ただしリースの場合は、リース総額の60%に対して7%の税額控除のみ)

 適用期間:
 平成10年6月1日から平成11年5月31日の1年間に、購入またはリース契約で賃借し、その者の事業用として使用した場合のみ

3.住宅取得促進税制
 住宅取得等特別控除の控除率は適用3年目から引き下げられており、そのため控除金額が3年目以降減額する仕組みとなっていました。今回の措置では、この控除率の引き下げを1年間延期し4年目からとすることになりました。これにより控除額が最高で10万円増加することになります。
 また、既に施行されている「平成10年度税制改正」では、住宅取得等特別控除の所得制限を2,000万円から3,000万円に引き上げており、適用対象者の範囲を広げています。
 この2点から、平成10年中に住宅購入のための借入をして、住宅を購入し居住した場合、今まで以上に「住宅取得等特別控除」の効果があることになります。

平成10年度税制改正の内容 〜建物に対する減価償却制度の見直し〜
 平成10年4月1日以降取得する建物の減価償却方法および既存建物を含む耐用年数の短縮が行われました。この改正では、既存建物と平成10年4月1日以降取得する建物との取り扱いが異なるため、混乱が予想されます。下記「改正内容の注意点」をご参考ください。
〜改正内容の注意点〜
 〇減価償却方法については、平成10年4月1日以降新規に取得する建物 から定額法のみの適用に改正され、定率法の選択は出来なくなります。 ただし、定額法の適用は、あくまでも新規に取得する建物となるため、 建物附属設備や構築物は対象外となり、また従来から定率法を選択して いる場合は定率法を適用できます。
 〇平成10年4月1日以降に開始する事業年度から既存建物も含め、すべ ての建物の耐用年数が短縮されます。なお、個人事業者の耐用年数短縮 の適用は、平成10年分からとなっています。

<主な建物の改正耐用年数>

構造・用途 細   目 改正前 改正後
鉄骨鉄筋コンクリート造
又は鉄筋コンクリート造

 
○事務所又は美術館等
○住宅、寄宿舎、宿泊所、学校又は体育館
○旅館又はホテル(木造内装部分の面積が3割超でないもの)
○店舗・病院
65年
60年
47年
47年
50年
47年
39年
39年
れんが造、石造又はブロック造
 
○事務所又は美術館等
○店舗、住宅、寄宿舎、宿泊所、学校又は体育館
○旅館、ホテル又は病院
50年
45年
42年
41年
38年
36年
金属造のもの(骨格材の肉厚が4mmを超えるもの)
 
○事務所又は美術館等
○店舗、住宅、寄宿舎、宿泊所、学校又は体育館
○旅館、ホテル又は病院
45年
40年
33年
38年
34年
29年
金属造のもの(骨格材の肉厚が3mmを超え4mm以下のもの) ○事務所又は美術館等
○店舗、住宅、寄宿舎、宿泊所、学校又は体育館
○旅館、ホテル又は病院
34年
30年
26年
30年
27年
24年
金属造のもの(骨格材の肉厚が3mm以下のもの)
 
○事務所又は美術館等
○店舗、住宅、寄宿舎、宿泊所、学校又は体育館
○旅館、ホテル又は病院
24年
20年
18年
22年
19年
17年
木造又は合成樹脂造のもの
 
○事務所又は美術館等
○店舗、住宅、寄宿舎、宿泊所、学校又は体育館
○旅館、ホテル又は病院
26年
24年
18年
24年
22年
17年
木骨モルタル造のもの

 
○事務所又は美術館等
○店舗、住宅、寄宿舎、宿泊所、学校又は体育館
○旅館、ホテル又は病院
24年
22年
16年
22年
20年
15年

 建物の取得時期を、改正適用日の平成10年4月1日を挟み前後で比較すると、以下の参考例の通りになります。


来月号も引き続き、税制改正を説明いたします。

                     

(担当:乙黒智子)

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FX2 導入企業紹介

 平成10年度税制改正は、適用時期の異なる様々な改正が盛り込まれているため経理事務も煩雑にならざるを得ない状況になっています。こんな時こそ当社の提供する戦略情報システムが皆様のお役に立てるのではないでしょうか。さて、今回の導入事例は、FX2(戦略財務情報システム)とPX2(戦略人事給与情報システム)を使い時間の短縮をし、さらに、表計算ソフトを使って商品管理業務の強化を行っている事例をご紹介いたします。

「FX2を導入していかがですか?」と言われて思わず「楽になりました!」の言葉が飛び出したことは言うまでもありません。以前は伝票起票、帳簿への転記等が大変な仕事でした。1ヵ月ごとの試算表作成には、さらに手間暇がかかり、日曜日を使わなければならない1日がかりの苦しい仕事でした。その様な仕事もFX2導入により『1日数分間の伝票入力のみ』と一気に楽になり、今では私のなくてはならない良きパートナーとしてFX2は活躍しています。また、PX2の導入により、簡単な入力のみで給与を自動に計算、源泉徴収簿の作成までしてくれ、この2月に施行された特別減税、8月に予定されている追加特別減税の対応もどこ吹く風といいこと尽くめです。おかげで時間の有効利用ができストレス解消につながっています。  パソコンの活用につきましては、このたびエクセルを使った計算表を作成していただき、部品の出庫、入庫の管理ができるようになりました。この計算表を使い、無駄 をなくし、効率よく数値を把握することにより会社の商品管理業務整備ができるようになり、利益体質の強化に役立っています。 上野先生をはじめスタッフの方々にお礼申し上げます。

<<株式会社 ミヤザワ  宮沢悦子>>

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書面添付申告の重要性 その2

連続書面添付申告関与先のご紹介

 先月号に引き続き、書面添付申告の重要性(98年5月号インフォメーション No179を参照)をご理解戴き、3期以上連続して書面添付申告を実践された関与先の皆様に対してTKC全国会より表敬状が贈呈されましたのでご紹介いたします。これからも関与先の皆様と一緒により精度の高い申告を目指していきたいと思います。

メタルコート株式会社 5期連続書面添付申告



芦澤歯科医院 3期連続書面添付申告


昭和薬局 3期連続書面添付申告


(担当:輿石)

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シリーズ ビッグバン

企業会計ビッグバン


 金融を始めとして様々な分野でビッグバンが進行し、世界基準での新しいルールに沿った経済活動が始まっています。会計の世界も例外ではなく、いよいよ世界基準での会計が重要視されてきました。この流れによって企業会計はどう変わり、経営にどのような影響があるのか考えてみましょう。

世界統一ではない会計ルール


 財務諸表の作成ルール(会計ルール)は、世界共通と思われている方が多いと思います。ところが会計ルールは各国の経済的・社会的環境の中で出来上がってきたため国によって様々な違いがあります。国内だけの取引しかない時代にはそれでも良かったのでしょうが、企業が国境を越えて活動している今日では、財務諸表の利用者(主に投資家)はいちいちその国の会計ルールを考慮しなければなりません。例えば、トヨタとGMとベンツの財務諸表を比較する際には各国の会計ルールの違いを修正しなければ正確な比較は出来ません。この様な弊害をなくすために、財務諸表作成の基本となる会計ルールを統一し、世界共通の国際会計基準を作ろうという動きが活発化しています。

国際会計基準のポイント


 国際会計基準のポイントは、次の3点です。

 時価主義
 これは財務諸表の資産・負債を取得原価ではなく決算時の時価によって表示することです。日本の企業は本業での赤字を含み益のある資産売却によって埋め合わせてきました。また、逆に資産に含み損があったとしても取得原価で表示する財務諸表ではそれを把握することは出来ず、日本企業の国際的な信用力低下にもつながっています。財務諸表を時価で表示することにより全ての含み損益を浮かび上がらせなければ、企業の本当の姿を知ることは出来ません。

 業績の適時開示
 これは企業の業績を正確かつタイムリーに公表することです。投資家は一刻も早く企業の内容を知りたいと常に考えています。

 連結決算重視
 これは子会社などを利用した利益操作を、個々のグループ会社の財務諸表では把握しにくい為、グループ全体での業績を重要視するものです。 

企業経営はどう変わる?


 時価会計が採用されれば、資産売却による利益操作は意味が薄れ、本業での利益が重視されます。投資家は一回きりの資産売却益よりも、毎期継続して利益を計上できる力を評価します。また、含み益分の資金は利益を獲得するための活動には使われずに寝ている状態になるわけですので、これらの経営資源をいかに有効活用するかという課題が経営陣に課せられることになります。

国際会計基準とキャッシュフロー


 国際会計基準ではキャッシュフローが重視されます。キャッシュフローとは、「儲け」のことですが損益計算書上の「利益」とは異なり、いくらの現預金が残っているかという意味です。黒字倒産するのは計算上の利益が出ていても運転資金が無いためです。よって計算上の利益と現預金残高とのギャップを埋める資金収支表は、企業の安全性などを知る重要な資料となり、投資家もこれを望んでいます。これからはキャッシュフローを意識した企業経営が重要になります。キャッシュフローが読めない経営者は投資家から見放される時代が迫っています。

大企業だけの問題ではない


 国際会計基準は大企業だけが考える問題と思われるかもしれませんが、規模の大小には関係ありません。中小企業でも優れた技術やノウハウを持っている企業は、既に海外の大企業とも取り引きをしています。また、今後益々経済のグローバル化が進めば、他の中小企業でも外国企業との取引チャンスが増えるはずです。そこで諸外国の大企業と同じ基準で経営を考えることが重要になってきます。それは国際会計基準での財務諸表作成につながります。国際会計基準は国によって早ければ西暦2000年頃から一部採用されそうです。日本の税制改正も国際会計基準を意識した内容になっていることも事実です。私たちは一日でも早く古い経営体質から脱却する必要があるのではないでしょうか。

(担当:乙黒謙一)

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